鞍馬天狗は「ヒーローの原点」

NHK木曜時代劇「鞍馬天狗」(毎週午後8時)は、作家・大佛次郎氏の原作ですが、かつては嵐寛寿郎が演じて人気をはくし、東千代之介、市川雷蔵らが演じました。今回は、狂言師の野村萬斎が白馬に乗って現れます。
野村萬斎が今回鞍馬天狗を演じてあらためて発見したことは、「お子さま向けヒーローものの原点がっ鞍馬天狗だったんだ...頭巾がヘルメットとなり、馬がバイクに...」だそうです。
父を叔父に殺され、幼少時から鞍馬山中で武術の鍛錬をしていた小野宗房が、山を下りて、幕末の京都で長州藩士・桂小五郎と出会い、浪人・倉田典膳と名乗ります。その一方で、悪党が現れるや無敵の剣士・鞍馬天狗に変身します。 原作では、宗房と鞍馬天狗は別人ですが、主演の萬斎も「宗房が倉田になり、それが鞍馬天狗になる。3段ギアチェンジみたいですが、そういうところがひねりでもあるし、演じがいがある。今回はヒーローたるものの原点、という認識で演じた」と語っています。

萬斎鞍馬天狗の魅力

古典芸能と現代演劇の融合を試みてきた人気狂言師の野村萬斎は、舞台、映画、ドラマとジャンルを超えて演じ続けてきました。狂言以外でも様々な活動の場で、気品ある物腰と独特の発声で存在感を示しています。鞍馬天狗を演じるに当たり、狂言の舞のようにひらリひらりとした超人的な殺陣にはこだわったそうです。「成敗するときのしゃべり方も、抑揚を強くつけた様式美で押していきました」と、かなり個性的な天狗が参上するらしいです。狂言で鍛えた、他の役者にはなかなか真似ができないのどで、茶の間をしびれさせてくれること間違いないでしょう。
第1話の「天狗参上」では、鞍馬山を下りた宗房が、新撰組に追われていた桂小五郎を助けます。共演は、桂役に石原良純、宗房のいとこの白菊役に京野ことみ、近藤勇役に緒形直人、土方歳三役に杉本哲太ら多彩な顔ぶれです。杉作は、どんな子が演じるのか楽しみです。

野村萬斎(のむらまんさい)略歴

野村萬斎は、狂言和泉流野村万蔵家の名跡で、当代は二世です。詩人阪本若葉子の長男で、本名は野村武司、1966年4月5日生まれです。初世野村萬(本名太良)と二世野村万作(本名二朗)の兄弟は、六世万蔵の息子で、六世の死後、兄・萬が七世野村万蔵を襲名し、弟・万作は五世万造(六世万蔵の父)の隠居名・萬斎を相続することになりました。万作は「萬斎」を自分では名乗らずに、長男に譲りました。叔父は萬の他に、野村四郎(観世流シテ方)、野村万之介(狂言方)がいます。野村萬斎と和泉元彌は、祖父同士が兄弟のまた従兄弟の関係です。
1994年に出演した大河ドラマ花の乱や1997年のNHK朝の連続テレビ小説『あぐり』での好演で、その名が全国に知られました。『ハムレット』主演 、NHK大河ドラマ『花の乱』で細川勝元役、 『陰陽師』で安倍晴明役(映画初主演)、『オイディプス王』主演、NHK子供番組 『にほんごであそぼ』出演開始、『敦 - 山月記・名人伝 - 』演出・主演 、『国盗人』演出・出演などの芸歴があります。

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